牛乳は私たちの生活に身近な食品です。手軽に飲むことができるにも関わらず、栄養素やビタミンが豊富で健康なカラダの維持に役立ちます。
それもそのはず、牛の赤ちゃんは体重が30~50kgで生まれてきますが、3~4か月のあいだ母牛の乳を飲むだけで3倍の110kg~140kgまで大きくなるのです。
それとは逆に母牛は筋肉や骨からタンパク質・カルシウムを取り出して牛乳をつくるため、体重が15%も落ちてしまいます。牛乳とは母牛が子牛のために、自分の身を削って搾り出す「命の雫」と言えるでしょう。
子牛は生後3~4か月あたりから母乳以外のものを食べ始め自然と乳離れしていきます。今回は「乳離れ」をキーワードに、なぜ牛乳を飲むと下痢になるのか?をお送りします。
牛乳に含まれる栄養素
牛乳には子牛が成長して大きくなるための栄養素すべてが入っています。
カルシウムはもちろん、タンパク質、脂質、炭水化物、その他に栄養を吸収・活用するために必要なビタミン類も含まれます。これらの栄養素やビタミンは母牛のカラダから取り出されるため、母牛は食事を十分にとっていなければ栄養不足、炭水化物不足に陥りやすい状態となっています。
このことは人間の女性にも言えることで、産前産後~授乳期は体調を崩しやすい時期でもあります。食事が十分でなかったり無理をし過ぎてしまうと、視力の低下や後々まで続く身体の不調が発生することがあるため注意が必要です。
子牛は牛乳で、赤ちゃんは母乳で下痢になる!?
牛乳には「乳糖」とよばれる糖分が含まれています。乳糖は人間の赤ちゃんが飲む母乳にも含まれている成分です。乳糖をとるとなぜ下痢になるのでしょうか?
乳糖はラクトースとも呼ばれます。ラクトースはラクターゼという乳糖分解酵素によって「ブドウ糖」と「ガラクトース」に分解されます。赤ちゃんや子牛はこのラクターゼを使って母乳の中の乳糖を分解しエネルギーを得るのです。
乳児期にはこのラクターゼを十分に持っていますが、離乳期にラクターゼが減ってしまいます。これは人間の赤ちゃんに限らず子牛にも起こる自然な現象で、下痢をおこし不快な思いをさせることで離乳を促すという哺乳類におこるカラダの仕組みです。
乳糖分解酵素が少なく下痢になりやすい症状を乳糖不耐症と呼びます。ラクターゼの量は完全になくなる訳ではなく、一般的な成人であれば乳児期の6分の1~10分の1ではありますが分泌されています。
下痢は治る(分解酵素は増やすことができる)
離乳時期から減ってしまうラクターゼ(乳糖分解酵素)ですが、分泌量を増やし下痢を克服することができます。人のカラダはよく出来ており、頻繁にカラダに入ってくるものに対応しようとする仕組みがあります。
身近な例として、お酒(アルコール)が挙げられます。はじめはアルコール分解酵素が少ないお酒が弱い人でも、繰り返しカラダに取り入れることで分解酵素が多く作られるようになります。これと同じで乳糖分解酵素の分泌量も増やすことができます。
しかしお酒と同様に分解酵素ができにくい人がいるのも事実です。そういった方は無理をせずご自身の体質に合わせて牛乳を摂取するとよいでしょう。
私個人の場合を例を紹介します。1日に1~2回、毎日欠かさずプロテインを飲んでいます。
プロテインとは牛乳を乾燥させて作られた脱脂粉乳のことです。乳糖を含むWPC製法のプロテインを飲みはじめた頃には毎日下痢が続いていました。下痢も気にせず毎日飲んでいると、3か月目にさしかかる頃からパッタリと下痢にならなくなりました。
逆の例を挙げます。
牛乳が大好きで毎日大量に飲んでも下痢にならない人がいたとします。その人は無人島にとり残されて数年の間、一滴も牛乳を飲む機会はありませんでした。救出された後にその人が「大好きな牛乳が欲しい」と言い、飲んだとします。すると必ず下痢になってしまうのです。
生き物のカラダはよくも悪くも環境に適用しようとします。
分解酵素一つ作るだけでもタンパク質・その他の栄養素・エネルギーを必要とします。使用する機会が多ければ沢山作られますが、使用頻度がなければ無駄をなくすために作られなくなってしまうのです。
あとがき
若干話が飛んだりしましたが、下痢になる原因と改善方法の記事は楽しんで頂けましたか?
普段なにげなく飲んでいた牛乳ですが、そのありがたみを再確認させられました。日々の生活に上手く活用して健康な日々を送りましょう。
プロテインを飲用されている方へのメッセージ。
ホエイプロテインにも精製法によって乳糖を含むものと含まないものがあります。
下痢になりやすい方がプロテインを選ぶ際には乳糖が取り除かれているWPI製法のホエイプロテインを選ぶとよいでしょう。低価格帯(WPC製法)商品の中では明治の「ザバス」シリーズが、他メーカーの商品と比べると下痢になり難くなっています。
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